公正証書遺言の作り方を4つのメリットと3つのデメリットも含めわかりやすく解説!

公正証書遺言は、遺言者が公証人の面前で作成する遺言書の形式の一つで、遺言者の意思を確実に反映させ、
法律的に有効な遺言を残すための方法です。

公正証書遺言は、その信頼性と法的な効力から多くの人に利用されています。
ここでは、公正証書遺言の詳細、作成手順、必要なもの、メリットとデメリットについて詳しく説明します。

根拠法令の条文
民法第969条:公正証書遺言の要件

公正証書遺言の基本事項
公正証書遺言は、遺言者が公証人役場で公証人と2人以上の証人の立ち会いのもとで作成する遺言書です。
この遺言書は、遺言者が公証人に遺言内容を口述し、公証人がその内容を筆記し、遺言者と証人がその筆記内容を確認して署名・押印することで成立します。
公正証書遺言は、公証人がその内容を確認し、公証人役場で保管するため、非常に高い信頼性と法的効力を持ちます。

公正証書遺言を作成するための手順は以下の通りです。

  1. 事前準備

まず、遺言者は遺言内容を明確にし、必要な情報や書類を準備します。具体的には、以下の書類や情報が必要です。

・遺言者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
・遺言内容に関する資料(不動産の登記簿謄本、預貯金の通帳、株式の証書など)
・遺言書に記載する受遺者や相続人の情報(氏名、住所、生年月日など)

  1. 公証人との打ち合わせ

次に、公証人役場に予約を取り、公証人と事前に打ち合わせを行います。
この打ち合わせでは、遺言内容の確認や、遺言者が遺言を作成する意思能力があることを確認します。
また、証人として立ち会う2人の証人の選定も行います。

  1. 遺言内容の口述

打ち合わせの結果に基づき、遺言者は公証人役場で公証人に対して遺言内容を口述します。
この際、証人2人も立ち会います。

  1. 公証人による筆記

公証人は、遺言者の口述内容を基に遺言書を筆記します。
遺言書の内容は正確でなければならず、
遺言者の意思が正確に反映されるようにします。

  1. 筆記内容の確認と署名・押印

公証人が筆記した遺言書を遺言者と証人に読み聞かせ、内容に誤りがないか確認します。
遺言者と証人が内容を確認した後、全員が署名・押印を行います。

  1. 公証人役場での保管

署名・押印が完了した遺言書は、公証人役場で保管されます。
遺言者には、公正証書遺言の正本と謄本が交付されます。

公正証書遺言を作成するために必要なものや書類は以下の通りです。

  1. 本人確認書類

遺言者本人を確認するための書類が必要です。具体的には、以下のいずれかが該当します。

・マイナンバーカード
・運転免許証
・パスポート

  1. 資産に関する資料

遺言内容に記載する資産に関する資料が必要です。
例えば、不動産の登記簿謄本、預貯金の通帳、株式の証書などです。

  1. 証人2人

公正証書遺言には、遺言者以外に証人2人の立ち会いが必要です。
証人は、利害関係のない成人である必要があります。

  1. 公証人手数料

公証人に支払う手数料が必要です。手数料は遺言書の内容や財産の価額によって異なります。

公正証書遺言には、以下のような代表的な4つのメリットと3つのデメリットがあります。

それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

公正証書遺言には多くのメリットがあります。
そのなかでも信頼性と法的効力の高さから、以下のような代表的な利点があります。

  1. 高い信頼性と法的効力

公正証書遺言は、公証人と証人の立ち会いのもとで作成されるため、その信頼性が非常に高いです。
公証人が遺言内容を確認し、正確に筆記するため、遺言者の意思が確実に反映されます。
また、公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続き不要であり、相続手続きが迅速に進められます。

*検認手続き・・・遺言書が見つかった場合にその遺言が本人のものであること、記入方法等が法的に有効かなどを認めてもらうための手続き。大体、2カ月以上の期間を要する。

  1. 紛失や改ざんのリスクが低い

公正証書遺言は、公証人役場で保管されるため、紛失や改ざんのリスクが極めて低いです。
遺言者の死亡後も、遺言書が確実に保管されているため、相続人に対して遺言内容が確実に伝わります。

  1. 遺言内容の秘密保持

公正証書遺言は、公証人が遺言書を保管するため、遺言内容が第三者に漏れることはありません
遺言者の意思が秘密に保持され、相続人同士の争いを未然に防ぐことができます。

  1. 法的なアドバイスが受けられる

公正証書遺言を作成する際には、公証人から法的なアドバイスを受けることができます。
遺言内容が法的に有効であることを確認できるため、遺言書が無効になるリスクを避けることができます。

一方で、公正証書遺言にはデメリットも存在します。以下に主なデメリットを挙げます。

  1. 費用がかかる

公正証書遺言を作成するためには、公証人手数料が必要です。
手数料は遺言書の内容や財産の価額によって異なり、一定の費用負担があります。
特に複雑な遺言書や多額の財産を扱う場合、手数料が高額になることがあります。

  1. 手続きが煩雑

公正証書遺言の作成には、公証人役場での手続きや証人の立ち会いが必要であり、手続きが煩雑です。
また、証人を2人用意する必要があり、利害関係のない成人を選定する必要があります。

  1. 公証人役場への出向

遺言者が高齢であったり、身体的に不自由であったりする場合、公証人役場に出向くことが難しいことがあります。
その場合、公証人に出張してもらうことも可能ですが、別途費用がかかることがあります。

公正証書遺言を作成する際には、いくつかの注意点があります。以下に、具体例を交えながら説明します。

注意点

証人は利害関係のない成人でなければなりません。
例えば、相続人やその配偶者、直系血族などは証人にはなれません。

遺言者は、公証人に対して正確に遺言内容を口述する必要があります。
曖昧な表現や誤解を招く表現は避けるべきです。

財産の特定と明確化が重要です。
例えば、「私の名義で登記された東京都港区のマンション」と具体的に記載することで、誤解を防ぎます。
また、遺言書に含まれる財産が複雑な場合は、各財産の詳細な記載が求められます。
たとえば、不動産の他に銀行口座、株式、債権などがある場合、
それぞれの金額や所在地、所有者名を明確に示すことが重要です。

公正証書遺言は、法的な信頼性が高く、遺言の内容が確実に保存されるため、多くの利点があります。
しかし、費用や手続きの煩雑さ(わずらわしさ)などのデメリットも存在します。

遺言者は自身の状況やニーズを考慮し、公正証書遺言を作成するかどうかを検討する必要があります。
また、遺言書の作成に際しては、専門家の助言を受けることが重要です。

公正証書遺言を通じて、円満な相続手続きを実現しましょう。

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