ちゃずけ先生、あたしはまだ若いんだけど遺言書を書いておこうと思うんだよね。ただ、なくしちゃったりしないかとか不安なんだよね・・・。
めんちちゃん若いのにしっかりしてるねぇ!じゃあめんちちゃんみたいな方々が安心して遺言書を残せる制度が出来たから今回はちょっと詳しく説明するね!
遺言書は、遺産相続において非常に重要な役割を果たします。
中でも、自筆証書遺言は自分で簡単に作成できる一方で、その保管方法や管理には注意が必要です。
今回は、自筆証書遺言の保管制度について、費用や必要書類、メリット・デメリット、注意点と具体例を交えながらわかりやすく解説します。
出来る限りわかりやすくをモットーにしていますが、
わからない箇所や理解が難しい文言があればお気軽にお問い合わせください。
自筆証書遺言書の保管制度とは
制度の概要
自筆証書遺言書の保管制度は、法務局が遺言書を安全に保管し、遺言者の相続開始時に確実に開示することを目的としています。
この制度により、自筆証書遺言の紛失や改ざん、隠匿といったリスクが減少し、遺言の内容が確実に相続人に伝わるようになります。
保管の流れ
遺言書の作成:自筆証書遺言を作成します。遺言の全文、日付、および署名を自筆で書きます。
保管申請:法務局に遺言書の保管を申請します。この際、所定の手数料を収入印紙で支払います。
保管証の交付:法務局で遺言書が保管されると、遺言者に保管証が交付されます。
遺言者の死亡後:相続人が法務局に遺言書の存在を確認し、遺言書の内容を開示します。
費用について
保管費用
法務局に自筆証書遺言を保管するための費用は、1通につき3,900円(2024年時点)です。
この費用は、遺言書の保管申請時に収入印紙で支払います。
その他の費用
遺言書作成自体には費用がかからないため、自分で全て自筆する場合は保管費用のみです。
必要書類
遺言書の保管申請に必要なもの
自筆証書遺言:完全に自筆で書かれた遺言書。(目録はパソコン可)
保管申請書:法務局の指定書式に記入。
本人確認書類:有効な運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど。
手数料:3,900円分の収入印紙。
住民票(本籍地、戸籍の筆頭者の記載されたもの):遺言者本人の住民票を用意します。
自筆証書遺言の形式
書き方の基本
自筆証書遺言は、以下の要件を満たす必要があります。
全文を自筆:遺言書の全文を遺言者本人が手書きします。
日付を明記:遺言書には作成した日付を明記します。
署名:遺言者本人が署名します。
用紙サイズと余白の指定
用紙サイズ
A4サイズ(210mm x 297mm)を使用します。
余白の指定
上側:5mm以上
下側:10mm以上
左側:20mm以上
右側:5mm以上
片面のみに記載
各ページにページ番号を記載(例:1ページのみの場合は1/1、2ページ目がある場合はそれぞれ1/2と2/2と記載)
複数ページでも、とじ合わせない(ホチキス等使用しない)
自筆証書遺言の例
以下は自筆証書遺言の例です。
自筆部分:全ての内容が自筆で書かれていること。
日付部分:遺言書作成の日付が記載されていること。
署名部分:遺言者の署名があること。
用紙サイズ:A4サイズを使用。
余白:上側5mm、下側10mm、左側20mm、右側5mmの余白を設けます。
保管制度のメリットとデメリット
メリット
- 安全性の確保
法務局での保管により、遺言書の紛失や改ざんのリスクが大幅に減少します。
これにより、遺言書の内容が確実に遺族に伝わることが保証されます。
- 検認手続の不要
遺言者の死亡後、家庭裁判所での検認手続が不要となります。
これにより、相続手続きが迅速に進められます。
但し、この制度は遺言書の有効性を保証するものではなく、被相続人(遺言者)の遺言書であることを認めるにすぎません。
- 開示の確実性
遺言者の死亡後、法務局が遺言書を開示するため、遺言内容の隠匿や無視のリスクがありません。
- 費用が低額
公正証書遺言に比べて、作成・保管費用が低額です。
公正証書遺言は公証人の関与が必要なため費用が高くなるのに対し、自筆証書遺言の保管費用は3,900円と手頃です。
デメリット
- 作成ミスのリスク
自筆証書遺言は、法律の要件を満たしていないと無効となるリスクがあります。
形式的なミスや内容の不備が生じやすい点に注意が必要です。
- 保管申請の手間
法務局に遺言者本人が遺言書を持参し、保管申請を行う手間があります。
また、保管証を失くしてしまうと、再発行ができないため注意が必要です。
え!保管証なくしたら再発行できないの!?それもそれで大切じゃん!
そう!だからもう一つ遺言書と書いた封筒に保管証だけ入れて自宅保管しておくのもいいかもね
そっか!見つかったのが保管証だけだったら改ざんの恐れもないし、法務局へ行けばいいって道しるべにもなるね
- 自筆の要件
遺言書の全文を自筆で書く必要があるため、書き間違いや修正が発生しやすく、高齢者や字を書くのが苦手な人にとっては負担となる可能性があります。
注意点
法律要件を満たすこと
【何度も書いて恐縮ですが、とにかく一番大事なのがこれ。】
自筆証書遺言が有効となるためには、法律で定められた要件を満たす必要があります。
具体的には、以下の要件を確実に守ることが求められます。
自筆:遺言書の全文、日付、および署名は遺言者が自筆で行う必要があります。
日付の明記:遺言書に日付が明記されていることが重要です。日付の欠落や不明瞭な表記は無効となる可能性があります。
署名:遺言者自身の署名が必要です。
保管証の管理
保管証は遺言者が死亡した際に重要な証明書となります。これを安全に保管し、遺族に保管場所を伝えておくことが重要です。
遺言の内容の見直し
人生の状況が変わることがあるため、定期的に遺言の内容を見直し、必要に応じて更新することが推奨されます。
更新する場合は、新しい遺言書を作成し、再度法務局に保管申請を行います。
保管制度利用の具体例
具体例1:単身者の遺言書保管
60歳のAさんは独身で、全財産を姪に相続させたいと考えています。
自筆証書遺言を作成し、法務局に保管申請を行いました。
Aさんは保管証を姪に知らせておき、万一の際に遺言書が確実に開示されるようになります。
具体例2:夫婦の相続対策
70歳のBさん夫婦は、互いの財産を全て配偶者に相続させることを決め、自筆証書遺言を作成しました。
それぞれの遺言書を法務局に保管し、保管証を互いに確認しました。
これにより、万が一の時にも相続がスムーズに行えるように備えられます。
具体例3:親子の遺産分割
80歳のCさんは、3人の子供に遺産を均等に分配したいと考えています。
自筆証書遺言を作成し、法務局に保管しました。
Cさんは子供たちに保管証の存在を伝え、遺産分割に関する争いを防ぐための準備を整えました。
具体例4:高齢者の安心確保
85歳のDさんは、自身の認知症の進行を心配しており、早めに遺言書を作成しました。
自筆証書遺言を法務局に保管し、保管証を家族に渡しました。
これにより、将来の不安を軽減し、安心して過ごすことができるようになりました。
具体例5:海外在住者の遺言書保管
65歳のEさんは海外に在住しており、日本にいる家族に遺産を相続させたいと考えています。
帰国時に自筆証書遺言を作成し、法務局に保管を申請しました。
Eさんは保管証を家族に送り、海外にいても遺産が確実に相続されるよう準備しました。
結論
どうだったかな?自筆証書遺言書の保管制度は、遺言者の意思を確実に相続人に伝えるためのとても有効な手段です。法務局での保管により、安全性が高まり、遺産相続が円滑に行われるメリットがあるんだね
でも、作成時には法律要件を満たすことが重要で、保管証の管理や遺言内容の定期的な見直しも欠かせないんだねぇ
そうだね。でもね、自分や大切な家族の将来を守るためにも、自筆証書遺言書の保管制度を積極的に活用することをお勧めします
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